皆さんこんにちは。
キャンピングトレーラーで日本一周・夫婦旅を目指し、各地を旅しながら予行練習と装備の検証を続けている「ピヨ」です。
キャンピングトレーラー旅は自由で快適。
ですが――冬になると一気に難易度が上がるポイントがあるのも事実です。
その代表格が、「カセットガスが寒さで使えなくなる問題」(ドロップダウン問題)。
我が家では、夏旅の快適さを求めてLPガスからカセットガスへ切り替えましたが、
冬の北海道旅で予想通りの壁にぶつかりました。
この記事では、
✔ カセットガスが冬に使えなくなる原因
✔ 実際に氷点下でも安定して使えている対策
✔ 冬のキャンピングトレーラー旅を快適にする実体験ノウハウ
を、実際に使って効果があった方法だけを紹介します。
それでは、行ってみましょう〜(^▽^)/
LPガスからカセットガスへ|夏旅は一気に快適になった
重たいプロパンガスタンクを下ろし、軽量でコンパクトなカセットガスに切り替えたことで、我が家のキャンピングトレーラー旅は大きく変わりました。
トレーラー全体の重量が軽くなり、
✔ プロパンガスの充填場所を気にしなくていい
✔ ガス切れしても旅先で簡単に入手できる
✔ 価格も安く、ランニングコストが低い
と、まさに良いことづくめ。
なかでも一番のメリットは、
日本全国どこでもガスを補給できる=旅の自由度が大幅に上がったことです。
ただし――
この快適さが通用するのは夏だけでした。
気温が下がると、一気に表面化する問題。
それが、カセットガス最大の弱点
ドロップダウン現象です…(T_T)
冬はドロップダウンで、全く使い物にならなくなる
ドロップダウン現象とは?
ドロップダウン現象とは、CB缶(カセットガスボンベ)のガスがうまく気化できず、火力が極端に低下したり、着火しなくなる現象のことです。
CB缶の中には液化ガスが入っており、この液体が「熱」を受けて気体へ変化・膨張することで、安定した火力が生まれます。
ところが寒さなどの影響で液化ガスが十分に気化できなくなると、
・火力が弱くなる
・調理が進まない
・最悪、火が付かない
といったトラブルが発生します。
では、なぜ冬になるとドロップダウンが起こりやすいのか?
その原因を見ていきましょう。


こんなに雪が積もっている極寒な環境でも、記事の方法なら問題無く燃焼できます。
ドロップダウンが発生する主な原因
外気温が低い
最も大きな原因が外気温の低下です。
気温が下がるとCB缶自体が冷え、内部の液化ガスが沸点以下になってしまい、気化できなくなります。
そのため、冷え込みの厳しい冬ほどドロップダウンは起こりやすいのです。
長時間の連続燃焼
もう一つの原因が、長時間連続でガスを使うこと。
CB缶は燃焼を続けると、
気化する際に熱を奪われる「気化熱」によって、缶そのものがどんどん冷えていきます。
結果として、気化しづらくなり、火力低下 → ドロップダウンへとつながります。
カセットガスのドロップダウン対策
① パワーガスを使う
カセットガスに使われている液化ガスには、主に以下の3種類があります。
寒さに強いガスを使うことで、ドロップダウン対策が可能です。
■一般的なガスの種類は3つ
● プロパン
・沸点:-42.1℃
・-40℃でも着火可能
・高出力だが内圧が高く、混合率に制限あり
● イソブタン
・沸点:-11.7℃
・-10℃でも着火可能
・安定した出力で燃焼しやすい
● ブタン
・沸点:-0.5℃
・氷点下では不向き
・安全性は高いが寒さに弱い
一般的なカセットガスは、このブタンが主成分のため、冬になると一気に使えなくなります。
「岩谷」「SOTO」「ユニフレーム」などから、
イソブタンやプロパンを混合したパワーガスCB缶も販売されています。



確かに効果は高いのですが、、、
・価格が高い
・販売店が少ない
・旅先で簡単に入手できない
というデメリットもあり、常用するには悩ましいところです。
② カセットガスを“安全に”温める
寒さで気化しないなら、適温まで温めればいい――理屈は簡単です。
ただし、安易な加熱は非常に危険。
メーカーが公表している
カセットガスの耐熱上限は約60℃。
70℃を超えると破裂・爆発の危険があります。
つまり重要なのは、高温にすることではなく「適温を安定して保つこと」。
目安は
20〜30℃前後をキープすること。
「使い捨てカイロを使えば良い?」
…正直、効果はほとんどありません。
私が実際に使っている方法は、次で紹介します。
実践しているドロップダウン対策(実体験)
私は冬のキャンピングトレーラー旅で、外気温−5℃でもカセットガスをドロップダウンさせず、長時間安定した火力を得ております。
ガスの使用用途は
・冷蔵庫
・キッチンコンロ
滞在中も冷蔵庫を常時ガスで稼働させていますが、途中で止まったり、キッチンコンロで調理しても火力低下を感じたことは一度もありません。
カセットガス保管場所であるフロントロッカーが氷点下の気温でも、問題なく燃焼を持続できる方法を編み出しました!
カセットガスのドロップダウン対策アイテムの紹介
私が使っているのがこちらのアイテム達になります。
爬虫類ペット用ヒーター Lサイズ
冬のカセットガス対策として私が実際に使っているのが、爬虫類ペット用ヒーターです。
本来は爬虫類や小動物のための保温ヒーターで飼育用に作られているため、過度に高温にならず、安全に一定の温度を保てるのが特徴。
氷点下の環境でもCB缶を20〜30℃前後に安定して温めることができ、ドロップダウンを防ぐのにとても役立っています。
高温・中温・低温の切り替えができるので、旅先の気温に合わせて調整できる点も、冬のキャンピングトレーラー旅では重宝しています。
・設定温度は3レベルに調整可能
高温42~48℃
中温32~38℃
低温22~28℃

外気が-5℃以下なら高温、0℃付近なら中温 15℃前後なら低温、と気温によって柔軟に対応できます。
温度設定はリモコンで簡単に変更できます。
・タイマー付き
電源ボタンを長押しする事で30分タイマーが作動
ON:30分後に自動で切れる OFF:常時発熱
一応タイマーが付いていますが、私は常にOFFにして常時発熱させています。
他のヒーターマットですと、勝手に数時間で切れる物もあり、そうした物は使えません。
キャンピングトレーラーのカセットガスシステム的には、継続して発熱させる必要がありますので、その点このペット用ヒーターは素晴らしいです。
※ペット飼育用と本来の用途でない使い方ですので、ご利用は自己責任でお願いいたします。
キャンピングムーン CB型ガスステーション BKZ54(最大4本接続)
このカセットガス4連アダプタを使えば簡単にLPガス→カセットガス化が実現できます。
この4連結仕様のサイズと、爬虫類ペット用ヒーターマットのサイズが絶妙で、ガス4連結の片面にぴったりフィットするので、効率よく4本全て温める事ができます。
ペット用ヒーターはゴムバンド2本で固定するだけ十分に効果を発揮します。


爬虫類ペット用ヒーター(L)を設置した様子
※Z55アダプターをBKZ54に接続する事で、初めて純正ガスホースと接続が可能になりますので、Z55は必ず必要になります。
このCB缶を4本連結できるキャンピングムーンのCB型ガスステーションは、
4連結のお陰でガス缶1本1本のガス消費が分散されるため、寒冷地でもドロップダウンが起きにくい仕組みです。
冷蔵庫など長時間燃焼させる場合や、低温の冬旅との相性が非常に良いユニットだと思います。
詳しいLPガス→カセットガスへの変更方法は上記別記事で紹介しています。
《問題点》ペット用ヒーターの電源はどうする?
キャンピングトレーラーで使うには一つ問題があります。
それは、電源をどうするか?
LPガス保管庫はトレーラー前部のフロントロッカー内にあり、ガスホースや安定器などは全てここに集約されておりますので、フロントペット用ヒーターを動かす電源が必要になります。
残念ながら私のトレーラーのフロントロッカーには、サービスシガーソケットはありませんでした。
一応ポータブル電源やモバイルバッテリー使う方法もありますが、リチウム電池は寒さに弱いという弱点があり、氷点下の世界でまともに動くのか不安が残りますし、最近多発しているモバイルバッテリー火災などのリスク回避のために、次のような対策を行いました。
フロントロッカー内に12Vシガーソケットを新設
ロッカー内に12Vシガーソケットを設置しました!!
無ければ引けば良いのです。ビルダーさんに構想を説明しシガーソケットを新設して頂きました。
12V供給なのでインバーターを動かす必要が無いため電力ロスがなく省エネです。
そして、そのソケットに、シガーソケット用USBアダプターを差し込みヒーターの電源を確保しています。

フロントロッカーに12Vシガーソケットを新設した
更に保温効果を最大化する方法
フロントロッカーは外気とほぼ同じ気温まで低下します。
その状態で、CB缶をむき出しで置いていては、いくら温めても冷えてしまい非効率。
熱損失を止めるためソフトクーラーバッグに入れて保温する事にしました。
狭いフロントロッカーにハードクーラーボックスは入りませんが、ソフトクーラーバッグであれば、狭くても柔軟に折り込んで収める事ができ、狭いフロントロッカーに使うには最適。
この対策を施す事で、熱損失を防ぎヒーターの効果を最大限引き出す事ができます。


ソフトクーラーバッグのお陰で温度が安定します
実際に冬の北海道の氷点下で使ってみた結果
4本のCB缶に均等にぴったり接するペット用ヒーターと、3段階の温度調整を「高温モード」で動かしたので、氷点下でも安定した火力で調理できる環境構築を達成。
冷蔵庫を長時間稼働させても、気化熱によるドロップダウンは発生せず、純正のLPガスタンク仕様と同じ感覚で旅を過ごせてとても快適。
その成功の秘密は、カセットガス4本連結仕様という点も寒さに強い要因だと感じています。
1〜2本仕様と比べ、1本1本のガスの消費量が4分の1に分散されるため、缶1本あたりの気化冷却が抑えられ、ドロップダウンが起こりにくいのです。
《注意!》安全管理は抜かりなく!
カセットガスは大変便利ですが、とても危険な物です。
万一の事故に備え私は2重の警戒態勢で挑んでおります。
■ガス漏れ警報装置設置
フロントロッカー内にLPガス警報装置を設置し常にガス漏れを監視しています。
万一ガスが漏れても早々にセンサーが感知し警報を鳴らしてくれます。

左側はフロントロッカー庫内の温度を測るワイアレス温度計、右側がLPガス警報器
■温度センサー設置
事故は無いとは思いますが、ヒーターが壊れ暴走し異常加熱する可能性はゼロではありません。
万一の対策としてソフトクーラーバッグの中に、ワイアレス温度計を忍ばせてあります。
ソフトクーラーバッグ内の温度を常に監視できる体制を整えています。


まとめ|冬でもカセットガスを使えると旅の自由度が一気に広がる

冬のキャンピングトレーラー旅では、寒さ対策に比重を置きがちですが、「ガスが安定して使えるかどうか」も快適性を大きく左右します。
今回紹介しました、爬虫類ペット用ヒーター+ソフトクーラーバッグ+キャンピングムーン CB型ガスステーション BKZ54の組み合わせは、
・氷点下でもカセットガスを安定した温度に保てる
・ドロップダウンを防ぎ、長時間燃焼が可能
・特殊な改造や危険な加熱をしなくていい
という点で、安全性と実用性を両立した対策だと感じています。
もちろん、夏はカセットガスで、冬は純正LPガスタンクに戻すという選択肢もあります。
ですが、
✔ 充填場所の制限や手間
✔ 旅先での補給の不安
を考えると、どこでも入手できるカセットガスが冬でも使えるというのは、
旅の自由度を大きく高めてくれるのではないでしょうか?
この記事が、冬のキャンピングトレーラー旅に悩んでいる方や、冬にカセットガスは無理。と諦めていた方のヒントになれば嬉しいです。
あなたのキャンピングトレーラーライフが、もっと快適で、もっと自由なものになりますように。
最後までお読みいただき、ありがとうございました (^▽^♪
※繰り返しになりますが、今回の記事は「こんな方法もあるのか」と参考程度に捉えて頂ければ幸いです。
本記事の実践は自己責任でお願いします。

